人魚の詩/りぃ
 
もうすぐ私はこの声を失うでしょう
うな垂れた君がそう云った

魚のような足を組みなおして
煙草から灰が落ちても彼女は俯いたままだった

売れないシンガーと売れない詩人な僕らは
その言葉でしか思いを伝える手段を知らず
彼女は泣いた

私の声が届かなくなる前に
云うわ

ねぇ、愛して。
私の骨も皮も目も鼻も、あげる。
だから、ねぇ、愛していて。

唇を重ねたら
君の声が聞えなくなった

ああ、愛しているよ
声がなくても
僕は詩人だから
君の声より確かな詩で

今度は僕が想いを伝えに行くよ

戻る   Point(1)