解朝/見崎 光
指先
鼻先
爪先
神経までも凍らせて大気は
淀むことなく研ぎ澄まされていた
陽は雲の衣を引きずりながら
氷柱の先端をくすぐる
流れそうで流れない滴
まだまだ温度が足りない
伸ばした斜光は一面に
地で待つ氷雪をも暖める
風は肌を刺すような激しさで表面を削り
何層にも折り重なった銀の顔を洗ってゆく
舞う氷は空中に解け
和らぎが薫る
張り詰めた大気がわずかに緩む
指先や鼻先、爪先の痛みはまだ
もう少し時間が掛かりそうだ
「トーストに目玉焼きを乗せて
遅めの朝食としようか」
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