アリゾナのマドンナ/結城 森士
議中に居眠りをしてしまうなんて、
この三崎千夏、この三崎千夏、人生最大の不覚でございま…」
「ふざけるな!気持ちがたるんどるんだ!」
ゴンザレスの唾と罵声を浴びせられて少々怯んだ。
気持ち6センチばかり、首を後ろに下げた。
なんといっても私のウリはこの美貌。
美しく完璧なフェイスに唾なんぞ飛ばされたらたまったものではない。
そのときゴンザレスの斜め後ろ45度きっかりの角度から
速読に定評のある同僚の溝口恵子が部長の肩に手を置き囁いた。
「まぁまぁ部長くん。そんなに青筋を立てずとも良いじゃないですか」
肩、ぽんぽん。
「今は会議中。三崎くんの居眠りは
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