I'm next to you./高杉芹香
 
今日は一度も傘を差さなかった。 
傘を差すのは嫌い。 
周囲がいつも気を遣って、 
『どうぞ』 
って 入れてくれようとするけれど。 
大丈夫だよ。 
どしゃぶりでもない限り。 
濡れていたいの。 
自由でいたいの。 
けど。 
きみの上着の裾につかまって歩くのが好き。 
きみのポケットに手を入れて歩くのが好き。 
ほんとは少し元気がないことだとか 
雪が降らなかったことだとか 
冬の夜風がそれを着てれば実はあったかいことだとか 
気付かないふりして 
笑いたいね。 
気付けば 
もう818。 
きみ
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