タマトギ/不可思議/wonderboy
遥か昔、人々がまだ目に見えぬものを信じていた頃、タマトギは島に一人はいたものだという伝承が南方の島々にだけ残っている。
涼しい夜を 選んで歩く
月夜が照らす 道を明るく
男は行くあてなどない旅の身
それでも確信的な足取りで
「何かが導いてるのだろうか」
方角は不思議と定まりゆく
うずく 何か 左胸のあたり
意思すら感じる 体の中に
その時だった 男のそばを
一筋の光が通り過ぎる
蛍だろうか 蛍にしては
いささか光が大きすぎるな
好奇の心 男はすでに
光を追うのを抑えられない
景色は開ける 言葉を失う
村 一面に 光の群れが
今日も老人は魂を研ぐ
あ
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