虎落笛/佐々宝砂
それであなたが納得するとはとうてい思えないのだが
今夜は寒すぎるし
わたしは少し老いた。
米に入り交じる雑穀のような
赤黒いぶつぶつが肌に吹き出る。
これがアレルギーであるとして
いったい何のアレルギーなのか
あなたに説明しておく義理はあるだろうか。
吸入せよ。
与えられたものを。
排出せよ。
許されたものを。
何も浮かび上がりはしないのだと嘆きながら
わたしの肌にさらに吹き出る
これら得体の知れないぶつぶつを
許されたものだと思ってもいいだろうか。
今夜は寒い
いささか寒すぎるほどで
そしてわたしは間違いなく
昨日より老いてゆくのだ。
(2008.1.29)
戻る 編 削 Point(0)