日常/
小川 葉
何かをはじめるためには
何かを終わらせなければならないと
手紙に書いた
何かの本で読んだ言葉だ
と書いたけど
嘘だった
けれど
そんな気がしてるだけで
本当は言葉なんて
きっかけに過ぎない比喩のようなものだ
と気づいたとき
何も終わっていない
はじまってさえいない
いつもと変わりない日常を
わたしはきゅうに
愛しはじめていた
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