地図/モリマサ公
 
そしておなかがすいたのでビルの隙間を水平にいく鳥たちをながめていると

泥水を手のひらですくってのんでる子供の映像がコマーシャルで流れて

記憶という文字があちこちで文字化けし

円山町のラブホの湯船に原因不明の女の死体がうかびあがる

マジ超ヤバめな人型の輪郭と空の境目がくっきりとつめたくひかり

けだるく自動ドアーがひらき

と同時にありがたさがふつふつとわきあがり

どうなぐさめたらいいのかよくわからない友達からのメールを着信する

ぶかぶかのアスファルトを泳ぐように進み一億人を避けながら生きて

痛みかもしれない誰も住んでいない家の鍵を静かにぶらさげたまま

いつも今はじまり今おわろうとする今がどこまでも薄くはりつき

地図をひろげて上で草のようなものが揺れている














 
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