ヨゼミ/ねなぎ
 

と言う
間抜けのような質問に
僕は
ただひたすらに
すみませんと
下を向いた

汗でべたべた
していた

隣の友達が
ただ
どうでもよかったから

平然と言った

僕は冷えて
固まった
バカと言う言葉が
喉から張り付いて
出て来ず
金魚みたいに
パクパクとしていた

担任は唖然としたと言うか
呆れてしまったように
そうかと言った

蝉が煩かった

じゃあ、お前は帰りなさい
来なくて良いよ
と担任が言うよりも
早く
友人は席を立ち
どうでもいいよ
と言って
出て行った

で、お前はどうする
と聞かれて
僕は反射的に
すみません

下を向いた


その後
友人は停学になり
僕は
独りでテストを受けた
そいつは
学校を辞め
あまり
遊ばなくなり
僕は一浪で
大学に入った頃には
もう合わなくなっていた


夜なのに
蝉が鳴いている

少し涼しい風が吹いた

残業を押し付けられて
独り
会社のデスクに座る

どうでもいいよと
呟いてみる
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