一人夜/
蒼木りん
わたしの好きなお月様は
すれ違い
先に明日にいってしまったので
わたしは一人で
ただひとつ星を眺めています
この夜がやさしくて
手を離すのが
いやで仕方ないのに
明日をみつめて眠らなければ
こころが病んでしまうよと
囁く声が
またわたしを悩ますんです
そんな虚ろな夜を
いくつも超えているうちに
今年も
身の無い実が生り
カラカラと
空気が凍える音しか聞こえない
色の無い季節がまた
来てしまいますね
(2003.9.4)
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