Davidは我々を理解できない/いとう
薄暗い街灯を避けるように
Davidが
深夜の公園で立っている
ように見える
満面の笑みを浮かべて
いや
満面の笑みを浮かべている
ように見えて
Davidは
自分が何であるかを知っていて
いつどこで何をすべきかを知っていて
それらを知らないことを理解できなくて
それらを知らない我々を理解できない
Davidにとってそれは
生きていないことと同義で
Davidにとって我々は
生きていないに等しい
Davidの形が揺らぎ始めて
やがて小さな肉虫の集まりのように蠢き始めて
少しずつ
崩れていく
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