アラスカ2〜星野道夫/鈴木もとこ
その飛行機は、ジャンボに囲まれて広い飛行場の真中にポツンといた。
YS11型機ぐらいの白く小さい機体に、先住民の顔とARASKA AIRの文字。
アラスカ航空アンカレジ行き。
昔日本からヨーロッパへ行くには、北周りで全てアンカレジ空港を経由したらしい。
寄ったことがある人からは、ただ広いだけの場所だと聞かれていた。その広さは自然が
近くにあるためだろう。通り過ぎる者には退屈に映ったとしても、留まる者にとっては
“何も無いけど全てある”ようなところなのだな。と勝手に想像した。
見上げた青空が眩しい。晩夏とはいえ8月のシアトルはまだ日差しが強かった。
タラップを上がって機内へ乗
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