やさしく眠る/急いで起きる/
小川 葉
やさしい眠りが
速度を上げて
朝の向こうへ離陸する
夢の中
街はまだ目を覚まさない
けれども電車は
定刻どおりやってくる
お雑煮を
まだ食べ終えてない人が
白組、白組、と寝言を言うので
乗客は
やれやれと目を覚ます
電車が行くその向こう
ずっとずっと
向こうには
次のお正月が待っている
お正月が何かさえ
知らなくてよかった
幼い頃から
ずっと
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