サーカス/小川 葉
 
まいの結末が、美しく思えたこともある。 だからわたしたちはサーカスにおびえ、心待ちにしてる、その瞬間をおぼえていない。そのかわりに真実として残った、自分の老いた顔を白塗りにして、わたしは道化師でした、と言い訳のように自らを、釈明するしかないのだ。 サーカスは、サーカスでしか有り得ないように、生きることしかできない、人間には 真実があるかないか、そのふたつにひとつしかない。わたしはまだ、わたしのサーカスを知らない。
 
 

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