朝のこない団地/いとう
 


妻が寝言でごめんなさいと謝っている
悪いことをしているのだ
悪いことをして泣いているのだ

ベランダから空気が入ってこない
高くなるほど薄く
いき をするのが苦しい
いき 苦しい 夜が
明かりを飲み込んでいく
暗い暗い闇の中で
ひるねこの声が聞こえる

妻が目を開けて眠っている
ときどき睨むが
妻の意思はそこにない
女の
泣く声も聞こえる




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