帰省/小川 葉
に
することが
たくさんあったはずでした
言い訳のようにまた
ここで暮らしていることが
夢のようだと
息子に話してみたら
やっぱり掌を合わせて
祈るのでした
あの日の僕のように
それが可笑しくて可笑しくて
笑いました
笑える夢がまだありました
君にはまだ夢がある
僕とは違って
父は君の夢をかなえる義務がある
だからまた
僕は祈ることをするのでした
他人事のように
祈るだけで夢がかなうなら
僕はもう死ぬつもりで祈り続けたい
けっきょく
それしかできない人間でした
過ぎてしまったことは
もう忘れてしまって
勘当されたってかまわない
も
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