帰省/小川 葉
 
 
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから

やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかできないけれども

祈るということは
どこか無責任で他人事のように
ただ祈るしかないんだよ
誰かがおしえてくれたわけではないけれども
誰もおしえてくれやしないこと

僕はお金を差し出す
生きるための片道切符を
いつかキセルして乗った汽車の
日付をかくしながら

父さんごめんなさい
母さんいつも迷惑ばかりで
ほんとうにすみません

ここで暮らしていたことが
夢になる前に
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