元旦に雪を掘る/オイタル
おとうさん
新年はやっぱり青空だね。
見上げると雪に覆われた町の空は円く晴れ渡り
周縁の雲は黒く山の上に山を重ねて
峰々の隙間から綿アメのような曙光が
白く絡んでいる
首を直角にあお向けた弟
にいちゃん、青空です。
スコップを雪に突き刺して
背を伸ばした兄
おんなじように空を見る
にいちゃん、青空。
ゆうべの雪はまるくやわらかく
重くたれた電線を
背の高い杉の細枝を
ゆっくりと揺らしている。
うわ
にいちゃん。
みんなで突き崩して
側溝の速い流れに落とした雪の塊
これからどこまで流れていくだろう
長く眼差しを伸ばすあの山の向こうの青空で
ミサイルは美
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