新しい年に/あすくれかおす
 
短針が少しずつ
牛のしっぽに圧力をかけて
時計がまんなかで 手を合わせるよ

まるで「いただきます」
みたいな「おめでとう」だね

それは温もりある言葉だね 


新しくなった人々の顔には こころ
今日もみんな 
こころの夢を見ている


少女の笑顔が仏様になっていく
赤子の泣き声が仏様になっていく


そうして空気の薄い層が
なんどもなんども
一枚 また一枚とやぶれるみたいに
この世があの世になっていく


みおぼえのない自分を捜すように
大地も
コンクリートも
ネオンの消えたパーラーも
雪がしずくになる時間の
かけがえのない朝日を見る
[次のページ]
戻る   Point(6)