新しい年に/あすくれかおす
短針が少しずつ
牛のしっぽに圧力をかけて
時計がまんなかで 手を合わせるよ
まるで「いただきます」
みたいな「おめでとう」だね
それは温もりある言葉だね
新しくなった人々の顔には こころ
今日もみんな
こころの夢を見ている
少女の笑顔が仏様になっていく
赤子の泣き声が仏様になっていく
そうして空気の薄い層が
なんどもなんども
一枚 また一枚とやぶれるみたいに
この世があの世になっていく
みおぼえのない自分を捜すように
大地も
コンクリートも
ネオンの消えたパーラーも
雪がしずくになる時間の
かけがえのない朝日を見る
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