あけおめ/小川 葉
かず子の外側から
年賀状が届く
地平線から地平線へ
わたしの内側へ
できるだけ
かんたんな言葉で
内側から溢れてしまうものが
零れてしまわないように
壊すことだってできたのに
年賀状ではじめて
かず子の子供を見た
あけおめとだけ
ペンで走り書きされていた
ただそれだけで
それ以上
言葉にならない気持ちが
わたしには
よくわかっていた
故郷は
あれから何ひとつ変わらない
来年もきっと
何も変わらないだろう
初詣でわたしは
掌を合わせて
何を祈ればいいのだろう
昔田んぼだったあのあたりには
新しい家が建つというのに
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