最果て/山中 烏流
たくほどの高みで
紫色の黎明を
ただ、ひたすらに
繰り返している
指先が指揮をとり
小鳥と鈴虫がセレナーデ
少女のか細い声は
いつも、それにかき消されてしまう
眼下に広がる海で沈むのは
私、だった筈
だと。
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箱庭/誰も知らない、
胎内とよく似たそこは
彼/少女
を囲いながら
口元を歪めている
(星屑は金平糖
(雲は綿飴
呟いたときの吐息は
風になるのだという
平和の代償は、いつも
気付かないうちに
捧げられてしまう、
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