最果て/山中 烏流
/億千と降る視線の海の中で、彼は息をしている/沈んだ髪の毛に吸われる水量は、きっと涙よりも多かった/十字を切る手首。首から泳ぐキリストには目もくれない/なまくらの精神で培った知識など命ひとつ分にもならない/膝を抱えてみると、それは骨だけだった/ユグドラシルの葉と蛇の囁き/頷いた首をはねたのは、間違い無く彼自身の手だ/最期の力ですべきこと、それは瞬きである/木だと思っていた物は、目を凝らして見ると無数の腕に変わった/彼は呟く/ぶつ切りの思考を制御せよ/。/
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虚空に跪くのは少女
睫毛が羽ばたく
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