キコ/ねことら
 


キコ、あの頃みたいに
カッターナイフ遊びがしたいよ


廃校の裏に捨てられた注射器に
ためた雨水を夕陽に透かせば
遠い異国へ運んでくれる
琥珀色のモルヒネになったね
キコ、無人のメリィゴーランドがまわっている
硝煙の匂いが立ち込めるあの日々のどこかで
ずっとまわっていた、ずっと



顔のない大人たちが管理する町は檻みたいで
ぼくらは毎日小さな罪をひとつずつ犯して生き延びてたね
コンクリートの破片が薄いスニーカー底を破って、
血が出て、いたくて、まだ歩けるのに、キコ


ぼくらのあの頃の感情は一瞬後には絶滅していてそれがわかっているのに名前をつけるこ
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