はるのゆめ/れつら
ひとつところに立って
夢をみている
春の夢をどうして
春を知らぬあなたに伝えようかと
しらじらしく足元はうろついて
煙のように立ち消えていく
春なんてあったの、どこに、なんて
一切を思い出して朗々と語っても今は冬
その冬も照りつけるままに散り失せて
ところで、雪、ってなに
あなたは問う
それも難しいはなしだ
髪をかきむしって
ひとまず、はるのゆめ、について
語るからだを、投げ出す、あなたに
「いま、わたしのからだはあたたかいけれど
あなたには触れられない、そういうことだと、
ひとまず、
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