R305/小川 葉
一度も吸ったことがなかったのに当たり前のように
R305と記されていたロボットの僕は
それが国道の名前であることを思い出すと同時に
自分の名前なのだと思えば
そのようにも思えてくるので
僕は少なくとも305歳以上は生きてきたことになる
305歳のその時
僕はどんな間違いをしてしまったのだろう
歯車の音がそこいらへんじゅうから聞こえてくる
そんな夢から覚めて僕は国道305号線で目を覚ます
居眠り運転だったらしい
その事故車から担架に乗せられる僕を
今は他人事のように見ている
そのからだには偶然だろうか
R305と記号が記されていた
誰もがいつか死ぬのだ
僕を見とってくれた妻はいつも歯車の音がしていた
お互いにはじめから死んでいたのかも知れない
信じたくはないけれども
事実かもしれなかった
今は君を
歯車を軋ませながら
このままずっと抱きしめていたい
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