R305/小川 葉
いつからだろう僕のからだには
アルファベットと数字が記されている
いくつめかの恋をした時に
恋人により偶然見つけられて
それからすぐに彼女とは別れた
とても怖がりながら僕のもとから去っていった
場末の酒場である老人に
そのことを告げると
人は間違いをしてしまうと
ロボットになってしまうのだよと
僕におしえてくれた
老人のからだにあるアルファベットを見せてもらうと
R13と記されていた
ずいぶん幼い頃に間違いをしたものですね
からかうようにそう言うと
煙草だよ、あれがはじまりだった
と煙草の煙をくゆらせながら眉間に皺を寄せる
そういえば僕も煙草を吸っている
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