八月のさなかに/
みつべえ
汗くさきシャツも血みどろの手もなく夏は終わりぬ八月のさなかに
うすあおき裸像をきざむ人のあり風土を捨てた身なれば軽し
父母よごめんなさいね双の手にかなしみのほか何も持ち得ず
白鳥はおのが出自を忘れはて海と空とに紛れてゆくよ
万年の腐蝕をよそに埋もれ木の姿かわらぬ心をもがな
※
八月(はづき)
父母(ちちはは)
白鳥(しらとり)
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