甘い嘘/あきな
 
甘い嘘は
かすかに苦味を含んでいて
残酷な現実を連れてくる
優しさのつもりで吐いた嘘で
崩れていく 守りたかったもの
すべてを背負うことが出来ないと
分かっていたのだから
崩壊していく有様から
目を反らしてはならない
崩れ落ちる時のあまりの激しさに
心が壊れそうになったとしても
甘い味を与えた責任が
現実から守りきれなかった罪が
責め立てる

次に壊れるのは私
自分で切りつけた傷跡を見て
失神しそうになっている
自分が救われたいがために
大切なものを犠牲にしているのに

甘い嘘の罠
蜂蜜のような香りで人を酔わせ
絡みつき
身動きを取れなくさせる

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