冬のこだま(十三)/信天翁
 
  いまここにこうして
 「在ること」
  それが当たり前と思っている
   それが若さなのかもしれない
  そして
 それが当たり前ではないんだと
 立ちすくむこと
  それが老いなのかもしれない

  音をたてない音には
  ときいろの流れがある
  (雨が落していった優しい光のすじ)
 声を出さない声には
 にびいろのよどみがある
(風が荒らしていった痛々しい四次元のケロイド)


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