海辺にて/小川 葉
水色の目で見つめられると
溺れそうになる
その海を
器用に泳ぐことが出来たのに
今は浮き輪と
シュノーケルが手放せない
また振り向いて
見つめてる
なにか用事があるの
このわたしに
聞けばいいだけのことなのに
溺れそうになる
感覚が心地よくて
砂色の
渇いた目に打ち寄せる
水色の波が目に
塩辛く
しみてしまう
はるか昔
なくしてしまった貝殻を
さがして拾う
手の皺をひとつずつ
見つけてしまうように
南中した
わたしの太陽が今
茜色に
変わりはじめている
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