ラムネ/
夕凪ここあ
わたしたちの夏は
ガラス玉みたいに透き通って
どこまでも不安定に揺らめいて泡してく
炭酸水の中でうまく泳げない
わたしとあなた
きっとまったく別々のままに飽和して
まぶたの裏でまだ小さくこいしてる
あの夏の宿題は
あ、の発音の仕方だったり
てのひらの温度の確かめかただったり
さよならの上手な言い方だったりしたけれど
いつまでも片付けられないまま
からん、と音をたてて
どうでもいい宝物みたいに
まだあだ名さえ忘れられないでいる
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