きょうの天国/あすくれかおす
「昼休み」
昼間は雲間に光がさした
カッターナイフの芯のかたちで
だんだん空が開けてくると
都庁周辺の緑地では
予報士たちが嬉しそうに
フユバレ!テンキ!と羽ばたいている
「退社」
タイムカードを押して
必要なぶんの暗がりを身にまとうと
いつものひとりの帰路になる
これが人手不足の
照明係のいないわが劇団で
次の公演は
あなたも一緒にどうかしら
あ
下心じゃないのよ
これはおばさんの熱意なの
こっそりひとり/芝居して
キャロットタワーの足元をゆく
右手に持ったピルクルの
冬の肌色がやたらに寒い
(どっかに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)