風向き/
松本 涼
ぼくがひとり
窓を閉めている
ぼくがふたり
雑木林をあるいている
ぼくがひとり
床を掃いている
ぼくがふたり
ゴミ箱をあさっている
ぼくがひとり
湖畔をながめている
ぼくがふたり
水底にしずんでいく
ぼくがひとり
種を蒔いている
ぼくがふたり
枯草を寝床にしている
ぼくはいつか
風向きを知らない人として
どこにでもいる
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