飛躍/倉持 雛
*むかしばなし
口をなくした12歳の日
あたしは感情の無を
主張した
感じないふりは
滑稽だったが
実に得策だった
一時の優しさはナイフのようで
期待することも
やめた
ただただ必死で
目を開いていた
わたしは平気だった
生きている
小さな魂
なくさないで
こわがらないで
空間を経て
飛躍する
*おもうこと
何を見たって
変われないのかもしれないけど
優しくなりたい
ただ、ただ
願う日だってある
信じることは
怖いけど
悪いことばかりじゃない
空を見上げて
雨が降ったら
泣いてもいいし
空を見上げて
滲むような青色をしていたら
走り出してもいい
不自由な世界には
小さなドアを
たくさん作ろう
優しくなりたい
ただ、ただ
願う日だってある
戻る 編 削 Point(4)