I LOVE YOU/松本 卓也
 
開いたノートをじっと見つめて
思いついた幾つかの単語を
暫く睨みつけていたけれど
繋ぐ言葉など一つも思いつかずに
ただの愚痴でページが埋まっていく

休みが取れないとか
出会いがまるで無いとか
誰かが不倫してそうで怪しいだとか
仕事と会社にまつわる事ばかり
次々に積み重なるばかりで

近頃はどうでもいい煩いから
どうやって逃げ出すかの算段を繰り返してる
見たくないものを見ないで済むように
言いたい事を主張しないでいれるように

歌唄いとか詩人とか芸術家とか
そんな風に呼ばれるようになりたくて
それっぽい何かを書き殴っている内に
いつの間にか三十を超えていた

上手く生きることが出来なくても
別に構いやしないと強がってた
少し前の自分が羨ましい
寂しさを口にして甘える事に
憧れがずっと強くなっている

ただ日常に淀んで荒むだけの心に
温もりが灯って欲しいと願う
別にあてがあるわけでもないけれど
久々に愛していると言いたいな

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