休日/まんぼう
崩れそうな小屋だけ写した写真集に唆され
海を目指して出かけた。
岬の藪の中に、崩れそうな土蔵があるんだ。
遠目から観る土蔵の壁は、罅割れが黒い毛虫のように張り付き、
崩れた屋根は秋空に畝って見える。
鈴生りの、紅のような実をつけた柿の木が
艶めいて寄り添うように立っていた。
この小さな赤い実は不味くて食べられない。
美しいだけだ。
乾涸びた柴の木が積み上げられ、
藁縄やら莚は一所に片ずけて、掃き清められている。
まだ時々は誰か来るのだろう。
シャッターを切ると、海沿いに車を走らす。
ここまで来るのは久しぶりだ。
岬の先端には、ウミネコの来る島があり土産品
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