雪のはじまり/ さくら
 
舞う、

それは、かすかに穏やかで
重力と風をさらう

そして、アスファルトへと帰るまで
溶けては消え、溶けては、


あたりは、
そうそうと時をつなげている、師走
風を分けて走っている


静寂が形になる前の
水が結晶になる前の
カタチある、時の色

穏やかで穏やかで、
舞う、雪の白


いつか、手のひらに
掴もうとしたこともあった

掴んで溶けても
気づけないこともあった


カタチをつくろうとしていた



空の裏側を飛んでいるつがいの鳥に
冬の行方を、もう、聞いてもいい?


咲く空に かざした手


白い息、 ふわり

戻る   Point(17)