白光事象/荷花
真白な 事象 そのゆえに かれをあいしたのは だれ。
向日葵の咲き誇る夏であったが為に、彼の葬儀は凍り付いた二酸化炭素の煙が目に沁みた。
青ざめ強ばる腐食の膚をやんわり押せば戻らずに留まつた。其が指の形(なり)、わがしるしとみるもわたしの勝手であろうが、彼の方が望まぬのやも知れぬ。
暑い夏であったが故に、真白な、事象。白光けぶる地平、見通せぬ。彼の行方はどことも知れぬ、昨日までもが彼とともに失われたが如く、はや何一つわたしの胸には残って居らぬのやもとてのひらひらき、ほたり、落ちた朱赤の玉、血の雫染みるやうな鮮烈に溌と目を上げる。
既に世は無音の涯なき伽藍の最奥、我が魂の彷徨う
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