憂い気な朝が散らばっている。/水島芳野
 
声をすりつぶしてずっと耐えていた。
夜に吐息を描きながら、このまま私も空になりたいと思った。
砕け散ってしまっても良いから、
私を走らせておくれ、と。
まるで請うように泣き叫んだ
あなたに足をあげても良いと言ったことがあった
 私には羽があったから
  撃ち落とされることを予知しても
   喉の奥の奥で救い出されることを望んでも
  縋るべきものなどどこにも見つけられなかったし
 飛び続けることでしか自分を赦せなくて。
 あなたに出逢いたいと思った
月明かりの下で。
 朝など来なくて良いと思った
月明かりの下で。
  本当は、あなたの泣き叫んだあの夜に
  私も泣いてしまいたかった。
 でも泣くことはできないと思ったから
 あなたのくれた背中もそっと押しかえした
どうせならそう
飛び立ちながら砕け散ろうと思う。
おはよう
そしておやすみ。
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