花火の夜(江戸川) 仲程 猫が逃げました ボヤが出ました 便所は汚すな と 親切な貼り紙のアパートの 隣の部屋の人の顔 まだ見たことありません のような午後の世界に 河川敷の花火 の音が聞こえる 暮れない夜に 君が百本の小説を乗り越え眠るころ 僕は一握の詩の前で童貞のままで 国際色の喧騒にしがみつきながらも 同じ月の夢に ニャー と哭く