その、しなやかな/ さくら
 
林檎の艶は 
きみに似ている

口を酸っぱく言われても
じゃれて、もつれた笑顔が
子猫の甘噛みのように
僕を誘うから

僕をどうか響かせて下さい。
そのしなやかな、指先で、

きみの背景に触れたくて
帰り際の背中に、そっと
「好きだよ。」って指でなぞった

そんな僕を今でもきみは
「あなたらしい。」と
言ってくれるから

僕の不器用な「らしさ」も
やけにむきになる「らしさ」も
大切にしないといけない「らしさ」も

きみに預けたくなる

僕をどうか怒って下さい。
そして、撫でて下さい。
そのしなやかな 指先で、

身勝手な僕を

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