[雨傘]/東雲 李葉
 
手向ける人は影も無くし
寄り添う人は飛沫をあげて沈みゆく
咲いてる花は色もとりどり
生きてるように揺らめき蠢き
私はまた呼吸もなく見つめている空
冷たい雨が
人たちを遠ざけ近付け
淡い熱に慣れさせては離し
新しい生きものを創るように

傘を持たない私は
為す術もなく成り行きを
人々の行き交いを 百年に一度の目交いを
神のように 指揮者のように
片手をかざし目を細める あるいは迷子の子供のように
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