公園/水町綜助
桜の花びらはもう枝から落ち、表になったり裏になったり、吹く風にくるくると回されたりしながら、春の終わりに舞っていた。
運河沿いの町なかにぽっかりと作られた狭い小さな公園だった。
数えるほどのベンチと、ブランコと滑り台と、小さな砂場だけの公園。
僕はアルバイトの昼休みをそこのベンチに座って過ごしていた。
作ってもらったおにぎりを食べながら。
不意に電子音が公園に響いた。
隣のベンチに座ってタバコを吸っていた男の携帯電話が鳴っていた。
「はい。何」
会話を聞いていると、職場の同僚と話している様だった。
「だからさ、俺だってそこら辺のことをちゃんと口にしてもらえれば別に文句もないん
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