mixjuice/水町綜助
 
何もない昼に

見てみたいのは

海の上に向かう道の街路樹

真夏の光

三十三度以上の空気が揺らめき立ち上る町の

そのビルの斜面

ざらついた肌

金色に濡れたみたいに見える

町から人が去っていく

唐突な沈黙をしながら

追う術もなく

僕も沈黙する

大気は揺らめき立ち上る

以前と何の変化もなく

町の音が聞こえる

仰向けに寝ている僕の耳に

それはとても遠くに聞こえる

いまより少し前のころを思い出す

思い出すだけ懐かしくはない


何もない昼に見てみたいのは

街路樹の輝き

そしてちまたで退
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