「冬の到来」/広川 孝治
 


それでも構わない

僕がその雪で
空を見上げ
そこに冬の到来を見たように

僕が淡く消えることで
それを見た人が
新たな時代の到来を見て取り
変革の必要性に気付いてくれるなら

それでも構わない



凶暴なまでの突風に対して
立ち向かう僕の目には
低く垂れ込めた雲の向こうに
温かな陽光と
限り無い蒼天が映る

たとえ今
雲に覆われていようとも

そこに必ずあるのだ

忘れてはならない
呑み込まれてはならない

どんよりと垂れ込める雲が全てではない

例え遮られようと
ここまで届かないように思えても
必ず光は存在する

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