誰もを好きでいなければいけないのか/ブライアン
 
 目が覚める。手に握られていた、ゴミのような紙。領収書。宛名は空白だった。枕には涎が着いている。アルコールの匂いがする。カーテンから光が差す。胃に違和感があった。消化不良だろう。布団から起き上がる。水を飲む。歯を磨く。目を閉じる。不快だった。妻は既に仕事へ出かけた。部屋に一人、残されていた。部屋は散らかっていた。二日前から書きっぱなしで放置された書類、開きっぱなしのノート。読みかけの文庫。みな、目的を忘れられていた。顔に手を当てる。髭が伸びていた。鏡の前に立つ。髭を剃った。テレビの電源を入れる。時間と天気を確認した。今日は一日中晴れるらしい。朝のテレビは内閣の話をしている。興味が湧かなかった。興味
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