準備に/井岡護
 
点滅する上り坂を食い破れ

点滅する男とは

反転した河馬のような鉄琴
変わり続ける右腕の子供部屋
半減期と牢屋に溶けた虹
悲しいという意味をした鋸鮫
点滅する上り坂の義肢 

  【平行線が半月に見える昼間に
   彼は酵母として銀盤に熱で
   牛皮や訴訟を描き続けていた
   のだ
   ろ
              うか】

   ※ 卵という文字が入るには
     あまりにも小さな砂漠

あるいは鉄
群青色の砂糖に埋もれた
毛深い目薬を常に必要とする
島国に於いて語られる象に似た
そのような鉄
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