朝8時の逢瀬/ヘンゼル
子供の頃に憧れていた職業があった
世の中の正しいこととそうでないことを、
優しい目線で判断できる大人
正義の味方という職業は、
僕にとっては
僕と言っても、昔の僕ね
正しいことをしていればなれる職業だったんだ
優しい気持ちを持ち続けていれば、
そういう大人になれると思っていたよ
意図的に笑顔を作れるようになってから、
そういうことを口に出すのは
時と場合を選ばないと気まずい空気になるからね
正義の味方が職業じゃないとは知っているよ、ただの憧れ
でも、僕が見ていた正義の味方は、
四角にきりとられた世界にしかないのかもしれないけど、
それを作っているのは誰だったのか
誰かの優しさが、今も僕の中に生きている
戻る 編 削 Point(1)