とある少女の恋/ここあこころ
 


特権は振りかざされるべきではなく
命を植えつけられた他の生き物のために
分け与えられるべきです

オレンジ色の微笑みで
命を抱き締めるように



3.通学路

とある少女が恋をしました

とある少女が恋をしますと

     *

薄紫に委ねられた夜は
ランドセルの香りを通学路へ漂わせます
泥だらけの汗と不器用な涙
きらめく星々の香りです
感じるものによっては
あたたかなホットミルクの香りでもあります
甘く懐かしい 優しい香りです

通学路に刻み込まれた数多くの足跡は語ります
誰かが未来に書き残すであろう
何ら特別ではない幸せの童話を
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