月光ドライブ/フミタケ
速35キロで走行すれば
ずっと昔に闇に消えた愛やよろこびと
ほんの少し親しくなったような気がしてる
あたりには僕以外誰もいない暗い道をなだらかに滑りこんでいく
このまま誰にも知られずに車を大破させで死んでしまう気がする
月明かりのドライブは
サーチライト
書き割り
潜水服
サイフォン
雰囲気
生きたビロード
やるせない シネマスコープ
思い出のよすが トワイライト
期待はずれの言葉ばかり 口をついてこぼれ落ちる
「でも、最後に残るのはいつの言葉よ」とあの娘が言ったのをおぼえてる
つまづきながら たどたどしくも駆けていった 孤児
開かれた部屋 オープンマイク
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